中国NEV上期13%減、黒字はわずか3社に

世界最大のEV市場である中国で、変調の兆しが鮮明になってきた。2026年上期の新エネルギー車(NEV)小売販売は前年同期比13%減の473.4万台にとどまった。国内では税制優遇の縮小が需要を冷やし、約30社ひしめくメーカーのうち黒字はわずか3社。一方で輸出は過去最高圏に達し、中国勢は国外へ活路を求めている。国内の過当競争と海外攻勢という、二つの顔が同時に進んでいる。

国内販売は減速、税制優遇の縮小が重荷に

中国乗用車協会(CPCA)のデータによると、2026年上期のNEV小売販売は473.4万台で、前年同期から13%減少した。6月単月でも103.7万台と前年同月比7%減となっている。ただし卸売(メーカー出荷)ベースの6月販売は前年同月比22%増と伸びており、国内の実需の弱さと生産・輸出の強さのギャップが浮かび上がる。在庫警戒指数は6月に57.2%と警戒ラインを上回り、販売現場の在庫圧力もうかがえる。

国内失速の一因が、購入時の税制優遇の縮小だ。年間の購入税免除は2026年初頭から段階的に縮小が始まった。バッテリーEV(BEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)、レンジエクステンダー車、燃料電池車に残る優遇も、2027年1月1日からさらに削減される予定だ。撤廃される負担軽減額は年間およそ360〜660元(約53〜97ドル)とされ、金額自体は大きくないものの、購入を後押ししてきた心理的な下支えが薄れつつある。

黒字はBYD・小米・Leapmotorの3社のみ

過当競争の厳しさは、収益の数字が物語る。2025年通期で黒字を確保できたのは、約30社のNEV系メーカーのうちBYD、小米(シャオミ)、Leapmotor(リープモーター)の3社のみだった。コンサルティング大手アリックスパートナーズは、2030年時点でも30社中7社しか損益分岐点に届かないと予測する。同社アジア太平洋自動車部門のスティーブン・ダイヤー氏は「収益性はもはや規模ではなく、組織の効率性や製品サイクルへの適応の速さで決まりつつある」と指摘する。値下げ合戦は依然続いており、XPeng(シャオペン)の何小鵬(ホー・シャオポン)CEOは2025年末に、2026年は「さらに残酷で血なまぐさい年になる」と警告していた。

輸出は約1000万台へ、コスト競争力が武器

国内が縮む一方、輸出は勢いを増している。2026年のEV輸出は約1000万台に達する見通しで、2025年の710万台から41%の大幅増となる。背景にあるのが、圧倒的なコスト競争力だ。中国製のリン酸鉄リチウム(LFP)電池パックは1kWhあたり64〜76ドルで、西側のニッケル・マンガン・コバルト(NMC)系の96ドル超を大きく下回る。電池はEV製造コストの3〜4割を占めるため、中型車で1台あたり2000〜4000ドルの価格優位につながる。電池セル生産では中国が世界の8割超を握り、LFP正極材はほぼ全量を供給する。CATL(寧徳時代)単独で2026年1〜5月の世界EV電池搭載量の40.2%を占め、中国7社で72.6%に達する。

輸出先はアジアが最大で、欧州、中南米が続く。タイでは中国ブランドが4年前の一桁台から約20%までシェアを伸ばした。もっとも逆風もある。EUは中国製BEVに、BYDへ17%、Geely(ジーリー)へ18.8%、SAIC(上汽)へ35.3%の追加関税を標準の10%に上乗せして課している。これに対しBYDはブラジルやアルゼンチンに工場を構え、ハンガリー・セゲドの欧州工場も2026年第4四半期の稼働開始を目指すなど、現地生産で関税を回避する動きを強めている。

中国EV市場は、国内の飽和と価格競争という淘汰の局面に入った。生き残るのは規模ではなく効率で稼げる企業だという構図は、当ブログで伝えてきたBYDの海外好調とも符合する。国内で鍛えられたコスト競争力を武器に、中国勢は関税の壁を現地生産で越えながら世界市場の再編を進める。日本メーカーにとっても、この「安さの構造」を理解することが、今後の競争を読み解く鍵になるだろう。

参考:China EV Sales Slide 13% in H1 2026, Only 3 Brands Profitable, Export Push Soars(Tech Times、2026年7月8日)