米国のEV市場が連邦税額控除の終了で足踏みするなか、トヨタが販売を伸ばしている。2026年上半期の米国EV販売は21,855台で、前年同期比136%増と2倍以上になった。フォルクスワーゲン、日産、フォード、BMWといった競合を上回り、いまや米国EV販売の上位5社に食い込んでいる。
上半期21,855台、前年同期比136%増
米調査会社コックス・オートモーティブ(Cox Automotive)のデータをまとめたInsideEVsの報道によれば、トヨタの2026年上半期の米国EV販売台数は21,855台だった。前年同期の9,249台から136%増という伸びである。この数字は、フォルクスワーゲン、リビアン、日産、キア、ホンダ、GMC、フォード、キャデラック、BMW、アウディを上回る。コックス・オートモーティブは「トヨタはとりわけ、存在感を急速に高めるプレーヤーとして台頭し、いまや米国EV市場の販売上位5社に入る」と評した。
牽引役は主力クロスオーバーの「bZ」だ。上半期の販売は17,553台で、前年からほぼ倍増した。bZは、かつて「bZ4X」として売られていたモデルを改良・改称したものである。加えて、コンパクトクロスオーバーのEV版「C-HR」が3,700台超を売り上げ、ワゴン風の「bZウッドランド」が残りを積み上げた。1車種頼みだったラインナップが、この1年で3本柱に育った格好だ。
競合が主力EVを打ち切るなかでの伸び
注目すべきは、この伸びが市場全体の逆風のなかで起きている点である。米国では連邦EV税額控除が約9か月前に終了し、その後EV需要は明確に鈍化した。補助が消えれば価格競争力が落ちるため、各社は戦略の見直しを迫られている。実際、フォードは電動ピックアップの「F-150ライトニング」を、フォルクスワーゲンは「ID.4」を、日産は「アリア」をそれぞれ打ち切った。看板EVを畳む決断が相次ぐなかで、トヨタは販売を2倍以上に伸ばした。この対比こそが、今回の数字の重みである。
トヨタはハイブリッド(HV)を収益の柱とし、EV専業メーカーほど早いペースでは電動化を進めてこなかった。その結果として車種数は限られるが、補助金が剥がれた局面でむしろ販売を伸ばしている点は目を引く。ディーラー網の厚みやブランドの蓄積が、値引き競争に依存しない売り方を支えている可能性がある。
焦点は2027年のハイランダーEV
今後の焦点は車種の広がりにある。トヨタは3列シートの電動専用SUV「ハイランダーEV」を、直近の延期を経て2027年初頭に投入する計画だ。米国市場で最も売れるセグメントである大型SUVにEVで参入する意味は大きい。bZクラスのクロスオーバーだけでは届かないファミリー層を取り込めるかどうかが、上位5社の地位を固められるかを左右する。
もっとも、上半期21,855台という規模自体は、テスラをはじめとする先行勢に比べればまだ小さい。伸び率の高さは、母数が小さいことの裏返しでもある。それでも、需要が冷え込む市場で右肩上がりを描けている事実は、EVが「補助金で売る商品」から「商品力で売る商品」へ移行する局面において、トヨタの立ち位置が悪くないことを示している。
フォード、フォルクスワーゲン、日産が主力EVの旗を降ろすなかで、トヨタは静かに順位を上げた。2027年のハイランダーEV投入までに、bZとC-HRでどこまで足場を固められるか。日本メーカーのEV戦略を占ううえで、この1年の米国市場は見逃せない。
参考:Toyota's EV Sales More Than Doubled in 2026(InsideEVs、2026年7月11日)

