ロボタクシーを午後11時まで延長、ペット回避が課題とマスク氏

テスラのロボタクシーは、なぜ夜間に走らせないのか。イーロン・マスク氏がその理由として挙げたのは、暗がりで見えにくいペットを轢かないようにすることだった。米Electrekはこの説明を取り上げ、暗所に強いセンサーであるlidar(ライダー)とレーダーこそが答えだと論じている。ただし、これはマスク氏の発言ではなく同メディアの主張だ。両者の違いを整理する。

マスク氏が挙げた夜間運行の課題

マスク氏がこの説明をしたのは、オースティンでのロボタクシーの営業時間を延ばすと発表した場面である。営業終了時刻を午後10時から午後11時に1時間延ばすという内容だった。その際、同氏は次のように述べた。

「いま解決しようとしている主な課題は、夜間に見えにくいペットを轢かないようにすることだ。文字どおり、暗闇の灰色のアスファルト上にいる灰色の子猫を避けようとしている」

ここまでがマスク氏本人の発言である。以下はElectrekの指摘と、同メディアが挙げた経緯だ。

Electrekの指摘とマスク氏の過去の発言

Electrekは、カメラは低照度・低コントラストの環境で物体を見分けるのが苦手だと指摘する。暗い色の動物と、同じような色調の路面を日没後に区別する場面がまさにそれにあたる。同メディアによれば、そこはlidarやレーダーが得意とする領域だという。マスク氏がlidarやレーダーを解決策だと明言したわけではない。同氏は問題の存在を認めたにとどまる。

Electrekはマスク氏の過去の発言も並べている。

  • 2019年4月:lidarを「愚か者の使命(a fool's errand)」と呼んだ
  • 2022年2月:lidarを「魅力的な局所最大値(a seductive local maximum)」と表現した
  • 2025年8月:lidarとレーダーは「センサー間の競合により安全性を下げる」と主張した
  • 2026年5月:テスラのカメラの夜間性能について投稿した

さらに同メディアは、テスラが2021年5月に自社の車両からレーダーを取り外したことにも触れる。当時マスク氏はElectrekに、非公開の場で「高解像度レーダーを組み合わせたビジョンは、純粋なビジョンより優れているだろう」と語っていたという。

営業時間の推移とウェイモとの比較

営業時間の推移も論点になっている。テスラは2025年6月にオースティンでロボタクシーを開始し、当初は午前0時まで営業していた。それから15か月が経った現在、営業は午後11時までで、開始当日より早く終わる状態だとElectrekは書く。一方、ウェイモは24時間運行している。1台あたり13個のカメラ、4個のlidar、6個のレーダーを搭載しているという。

今回の発言は、ロボタクシーが夜間に抱える課題をマスク氏自身が認めた点に意味がある。カメラ中心の方針を長く貫いてきたテスラが、暗所での検知をどう改善するかは未確定である。Electrekはlidarやレーダーの活用が答えだと主張するが、テスラがその方向に動くとは出典に書かれていない。今後の営業時間の拡大と、夜間の安全性をどう確保するかが注目点となる。

参考:Musk explains why Tesla Robotaxi is not running at night, and lidar is the answer