米国のEV価格が下がり続けている。ケリー・ブルー・ブック(Kelley Blue Book)の調査によると、2026年6月のEV平均取引価格(ATP)は前月比4.5%減の56,238ドルとなり、6カ月連続の下落を記録した。連邦政府による7,500ドルの購入補助金が失効した後も値下がりが止まらない点が注目される。テスラのModel Yも2.7%安の51,775ドルまで下がった。EV離れが進む一方で、割安な小型・中型ピックアップの販売は12%超伸びている。
補助金失効後も続くEV価格の下落
平均取引価格とは、実際に消費者が支払った価格の平均を示す指標である。6月のEV平均取引価格は56,238ドルで、前月から4.5%下落した。ケリー・ブルー・ブックによれば、この下落は6カ月連続だという。市場全体の平均取引価格が49,758ドルで前年同月比1%未満の上昇にとどまったのと比べると、EVだけが値下がりを続けている構図が見えてくる。
通常、補助金が失効すれば実質的な負担額は上がりやすい。しかしEVでは逆に価格が下がり続けている。記事はその背景として、二つの要因を挙げている。一つはトランプ政権によるEV政策の後退である。7,500ドルの連邦EV税額控除が撤廃され、EV普及を後押ししてきた制度的な支えが弱まった。もう一つはメーカー側の動きだ。ゼネラルモーターズ(GM)をはじめとする各社がEV開発の縮小に動いており、需要の鈍化に合わせて価格や販売戦略を見直している。
テスラの動向も具体的な数字で示された。テスラ全体の平均取引価格は53,107ドルで、前月比では0.7%上昇したものの、前年同月比では2.1%下落している。主力のModel Yは51,775ドルで、前年から2.7%安い。Model Yは依然として存在感が大きく、EV累計販売の35%超を占めるとされる。値下げ幅そのものは小幅(marginal)だが、最量販モデルの価格が下がる意味は小さくない。
需要はピックアップとコンパクトSUVへ
一方で、消費者の関心は手ごろな価格帯へと移りつつある。EV販売が5月の好調から6月に前月比で減少したと見られるのに対し、価格を重視するセグメントが伸びた。サブコンパクトSUVの販売は前年同月比23%増と大きく伸び、平均取引価格は31,113ドルだった。小型・中型ピックアップの販売も12%超増加している。EVの高価格帯から、より安いガソリン車やコンパクト車へと需要がシフトしている様子がうかがえる。
なお、インセンティブ(販売奨励金)の支出は6月時点で平均取引価格の7%だった。前年同月の6.9%からわずかに上がったが、5月の7.1%からは低下している。値引きの原資となる奨励金が高止まりしている点も、実売価格を押し下げる一因といえる。
連邦の後退を州が補う構図
政策面では、連邦政府の後退に対して州レベルの動きも出ている。カリフォルニア州のニューサム知事は、独自のEV補助制度を打ち出した。初めてEVを購入する消費者を対象に、新車で3,500ドル、中古車で1,750ドルを割り引く内容である。連邦の支援縮小を州が補おうとする構図だ。記事は、EV価格の下落を健全な競争や技術進歩の結果というより、連邦政府の支援縮小がもたらした市場の反応として位置づけている。
補助金という追い風が弱まる中でも、EVの実売価格は下がり続けている。メーカーが値引きや戦略見直しで需要をつなぎ止めようとする一方、消費者の目は割安なピックアップやコンパクトSUVへと向かい始めた。価格低下は買い手にとって朗報だが、それが政策後退の裏返しである点は見逃せない。カリフォルニア州のような独自支援が広がるのか、それともEVの勢いがさらに鈍るのか。米国市場の今後を占ううえで、価格と販売の動きから当面目が離せない。
参考:EV Prices Fall Over 4% as Tesla Records Marginal Price Drop—Small, Medium Pickup Sales Jump More Than 12%(Benzinga、2026年7月15日)

