NHTSAがテスラFSD調査を格上げ、320万台対象

米国道路交通安全局(NHTSA)は、テスラのFSD(完全自動運転)システムにおける視認性の問題について、予備評価から工学分析(Engineering Analysis)へと調査を格上げした。対象車両は約320万台に及ぶ。工学分析はリコール勧告の直前段階にあたり、テスラにとって重大な局面を迎えている。

何が問題か:カメラ障害を検知できないFSD

NHTSAが問題視しているのは、FSDがカメラの視認性低下を検知する仕組みである。調査によれば、FSDシステムは太陽光の眩しさ(sun glare)、霧、空気中の埃といった日常的な道路環境においてもカメラ視界の障害を検知できず、ドライバーへの適切な警告を行っていなかった。

調査番号EA26002として記録された今回の工学分析では、9件のインシデントが確認されている。うち1件は2023年11月28日に発生した死亡事故であった。テスラがこの事故をNHTSAへ報告したのは約7か月後の2024年6月27日であり、その翌日に視認性検知システムの改善に着手したとされている。

テスラの対応と過少報告の懸念

テスラ自身の分析によれば、改修後のシステムであっても、9件のうち実際に対処できた可能性があるのは3件にとどまるという。またNHTSAは、テスラの「データおよびラベリングの限界」により、関連する事故が過少報告されている可能性があると指摘している。

なお今回の調査は、FSDをめぐるNHTSAの三つの並行調査のうちの一つである。残る二つは、交通法規違反への対応と、事故報告の在り方に関するものとされる。

まとめ

安全支援技術が一般道路で広く使われるようになった今、視認性という基本的な条件への対処は製品の根幹にかかわる問題である。工学分析の結果次第では、テスラは数百万台規模のリコールを余儀なくされる可能性がある。今後の動向が注目される。

参考:NHTSA Upgrades Tesla FSD Visibility Investigation – 3.2 Million Vehicles