2026年、ヒューマノイドロボットは本当にどこまで実配備されているのか。テスラのOptimusが5万台を突破した、Figureが1万台以上を配備した——そうした派手な数字が飛び交う。しかし公式資料を精査すると、実態はかなり異なる。実際の現場で働いているのはFigureとAgilityであり、最も話題を集めるテスラは量産すら始まっていない。誇大宣伝と現実の差を整理する。
話題のOptimusは量産すら始まっていない
出回っている数字の多くは企業自身が確認していない。テスラはOptimusの累計生産台数を公表しておらず、2025年半ばの推計では生産数は「数百台規模」で、2025年目標の5000台の約10%にとどまった。カリフォルニア州フリーモントの生産ラインは、2026年7月中旬時点でも稼働していない。イーロン・マスク氏は、一般販売は2027年後半より前は難しいと示唆している。
工場での活用も限定的だ。テスラ経営陣は2025会計年度第4四半期の決算説明会で、Optimusはテスラ工場内で「有意な形で」配備されておらず、「生産的な作業ではなく主に学習のため」だと認めた。ロボットは訓練データを生み出すが、労働力を測定可能なほど置き換えてはいない。生産の節目はこれまで8回にわたり延期・修正されている。
現場で実績を積むFigureとAgility
対照的に、実配備の証拠を持つ企業がある。Figure AIはBMWで11か月の実証を完了した。Figure 02は1250時間以上稼働し、9万点以上の板金部品を扱い、配置精度99%以上、サイクルタイム84秒を達成した。後継のFigure 03は同じ工場で物流工程へ移行し、BMWは2026年夏にライプツィヒ工場へ展開を広げる。なおFigureは2025年9月時点で390億ドルの評価額を付けている。
Agility Roboticsのロボット「Digit」は、9つの顧客施設で累計6万5000時間以上稼働した。顧客にはGXO、シェフラー、トヨタ自動車のカナダ工場、メルカドリブレが名を連ねる。オレゴン州セイラムの工場は年産1万台の能力を持つ。中国のユニツリー(Unitree)は2025年に約5500台を出荷し、2026年は1万〜2万台を狙う。人型機「G1」は約1万6000ドルと、欧米製の約10分の1だ。ただし2026年第1四半期の純利益は前年同期比で52%減少しており、量産と収益性は別問題だと記事は指摘する。
次の試金石はテスラ第2四半期決算
日本では自動車工場の自動化が進むが、汎用人型ロボットの実戦投入はまだ黎明期にある。2025年のセクター資金調達は43億ドルに達したが、実配備は一握りの拠点に集中する。1万点の部品からなるシステムの量産に前例はなく、簡素なモデル3ですら安定量産に18か月以上を要した。次の試金石は7月22日のテスラ第2四半期決算だ。数字ではなく、現場で何が動いているかを見極める段階に来ている。

