テスラが完全自動運転(FSD)の新版「FSD v14 Lite」(バージョン2026.20.6.10)を、2026年7月20日にワイドリリースし始めた。旧世代の車載コンピューター「Hardware 3(HW3)」搭載車に、最新HW4向けV14の知能を移植した点が最大の特徴である。公式リリースノートと初期レビューから、その内容と実力を整理する。
旧世代HW3に最新V14の知能を凝縮
FSD v14 Liteは、HW4(AI4)向けに開発された最新FSD v14の知能を、旧世代のHW3(AI3)向けに凝縮(distill)したバージョンだ。テスラは公式リリースノートで「HW4のV14の知能をHW3に凝縮した」と明記している。HW3搭載車は、ハードウェアの制約から無監視(Unsupervised)のFSDには到達できない。それでも、これまで最新機能から取り残されていた旧型オーナーが、V14系の進化を体験できるようになる意義は大きい。
バージョン番号にも棲み分けがある。HW3車は「2026.20.x.x」形式のFSD v14 Liteを受け取り、HW4/AI4車は別番号の完全版FSD v14を受け取る。今回の2026.20.6.10は、まずXやYouTubeのインフルエンサーを中心とした限定的な早期アクセス層に配信された。テスラのFSD AI責任者アショク・エルスワミー氏はX上で「FSD v14 Lite(テスラAI3ハードウェア車向け)のレビュー。これがワイドリリースされる可能性が高いバージョンだ」と投稿し、広範な展開を示唆した。
リリースノートが示す主な改良点
公式リリースノートが挙げる主な改良点は次の通りだ。ナビゲーション・合流・歩行者対応・交通シーンでの応答性向上、不要な減速の減少とステアリングの滑らかさによる快適性向上、駐車・出庫・後退の新機能などである。加えて「到着オプション」が新設され、FSDがどこに駐車するか(駐車場、路上、私道、縁石際)を選べるようになった。常時利用可能な速度プロファイルや、自動運転の統計、介入なし連続記録を示すUI要素も追加された。
初期レビューは総じて好意的
初期レビューは総じて好意的だ。縁石への幅寄せ、高速道路や左車線での挙動、高速カーブの処理、市街地での自信、停止からの加速や一時停止標識への対応、段差の通過などで改善が報告された。早期テスターのザック氏(X上の@BLKMDL3)は「停止標識や信号からの発進の仕方を確実に改善している。停止状態からの加速がやや直線的で滑らかになった」と述べ、別の評価では「v14 Liteはv12.6.4よりずっと安全に感じる」との声も上がった。一方で駐車機能は改善の余地があり、これはHW3・HW4の両版に共通する弱点とされる。
HW3搭載車は台数が多く、旧型オーナーにとって今回の展開は待望の進化と言える。エルスワミー氏の示唆通りワイドリリースが本格化すれば、幅広いテスラ車が最新V14系の知能を手にすることになる。無監視FSDには届かないという制約は残るものの、日々の運転体験がどこまで底上げされるか、今後の配信拡大が注目される。
参考:Tesla Hints at FSD v14 Lite (2026.20.6.10) Going Wide Release: Official Release Notes & Early Review

