イーロン・マスクが、自身のAI企業xAIの次世代モデル「Grok 4.6」の初期訓練がまもなく完了する見込みだと予告した。約2兆パラメータ(2T)規模とされ、競合との性能差を埋めつつコスト効率を保つことを狙うという。まだ公開前の予告段階だが、大規模化競争の激しさを映す動きとして注目される。
訓練完了は7月末の週の見込み
マスクは2026年7月18日、この2兆パラメータ規模のモデルについて言及した。dataconomyの報道によると、初期訓練は7月18日から25日の週に完了する見通しだという。マスクはこのモデルが競合との「性能差を埋めつつコスト効率を保つ(close this performance gap while keeping cost efficiency)」ことを目指すと述べた。ただし性能の具体的な数値や公開時期は明らかにされておらず、あくまで訓練完了の見込みを示した予告にとどまる。
中国勢との性能・コスト競争
背景には、中国の生成AI勢との競争がある。ムーンショットAI(Moonshot AI)は7月16日に「Kimi K3」を公開した。2.8兆パラメータ規模で、第三者評価のArtificial Analysisのベンチマークで57のスコアを記録したとされる。1タスクあたりのAPIコストは0.94ドルと報じられている。完全なモデル重みの公開は7月27日に予定されているという。
これに対し、xAIの現行モデル「Grok 4.5」は1.5兆パラメータ規模(社内呼称はV9)で、同ベンチマークのスコアは54、1タスクあたりのコストは約0.31ドルとされる。新モデルGrok 4.6は、この性能差を縮めながらコスト面の優位を維持する位置づけだ。
複数モデルの同時開発とインフラ拡張
xAIはインフラ面でも規模を拡大している。2026年4月時点で、スーパークラスター「Colossus 2」上で7つのモデルを同時に訓練していたという。さらに6兆パラメータ、10兆パラメータ規模のより大きなモデル(「Grok 5」と呼ばれる)の開発も進めているとされる。加えて、コーディング支援エージェント「Grok Build」(7月13日時点でv0.2.101)を提供しており、これは月額300ドルの上位プラン「SuperGrok Heavy」で利用できる。
Grok 4.6は、こうした複数モデルの同時開発とインフラ拡張の一環に位置づけられる。訓練完了の時期が示された一方で、実際の公開日や最終的な性能は未確定のままである。
xAIは中国勢を含む競合を強く意識しながら、パラメータ規模の拡大とコスト効率の両立を進めている。Grok 4.6が予告どおりに完成するのか、そして公開時にどの程度の性能を示すのかが次の焦点となる。今後の正式発表を待ちたい。

