米宇宙軍(Space Force)は、軍事衛星ネットワークの構築を支援する打ち上げ契約2件をスペースXに発注した。総額は16億ドルに上り、国家安全保障宇宙打ち上げ(NSSL)フェーズ3レーン1における過去最大の公開契約となる。
18回の打ち上げで3つの衛星群を支援
今回の契約により、スペースXは2027年末までにカリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地からファルコン9ロケットで計18回の打ち上げを行う。対象となるのは「Space Based Sensing and Targeting」と呼ばれる軍事衛星群のポートフォリオだ。具体的には、ミサイルの脅威を検知する赤外線衛星群「Tracking Layer」、衛星間を光通信でつなぐネットワーク「Space Data Network Backbone」、航空目標を追跡する衛星群「Space-Based Airborne Moving Target Indicator」の3プログラムが含まれる。
スペースXはこのポートフォリオにおいて、打ち上げを担うだけでなく、衛星システムそのものの製造も別契約で受注している。Backboneでは22億9000万ドル、Airborne Moving Target Indicatorでは41億6000万ドルの契約を既に獲得しており、軌道への輸送と衛星の建造の両方を一手に担う体制となっている。
迅速な調達を支える「レーン1」方式
今回活用されたレーン1は、事前認定された企業が最高レベルの機体認証を経ずに個別の打ち上げ案件を競争入札できる、比較的リスクの低い任務向けの調達方式である。米空軍がレーン1の契約枠上限を56億ドルから170億ドルへ引き上げた直後に、この大型発注が公表された。軍事打ち上げの需要が当初の想定より大幅に増える見通しであることを示している。
2027年末までに18回を完了するには、平均して月1回程度の打ち上げペースが必要になる。衛星の納期次第で変動する持続的な打ち上げキャンペーンとなる見込みだ。現在レーン1の契約枠を保持する企業は7社あるものの、打ち上げ頻度、稼働可能なファルコン9機体、西海岸の打ち上げ施設を兼ね備え、この規模のキャンペーンを今すぐ実行できるのはスペースXのみだという。
空軍の宇宙アクセス調達を統括するエリック・ザリブニスキー大佐は、要件の特定から契約発注までに約2カ月、業界による提案準備期間を含めても約1カ月で調達を完了したと明かし、レーン1方式の迅速さを強調した。
まとめ
今回の受注は、スペースXが打ち上げ手段と衛星製造の双方で軍事衛星網の中核を担う立場を一段と強めたことを示す。今後もレーン1の契約枠拡大に伴い、同様の大型発注が続く可能性がある。
参考:SpaceX wins $1.6 billion in launch orders for military satellite networks

