テスラ、中国で297万台リコール ドアハンドル問題

テスラは中国で、Model 3・Model Y・Model S・Model Xの合計約297万5,910台をリコールすると発表した。衝突事故の際に緊急脱出用のドアハンドルが見つけにくいという安全上の懸念が理由である。これは中国当局が主導する業界横断の一斉対応の一環であり、テスラを含む11社が足並みをそろえる大規模な動きとなっている。

電子ドアラッチの安全上の懸念

今回のリコールの原因は、電子式ドアラッチの普及にある。スマートフォンやNFCカードでの解錠を可能にする電子ラッチは利便性が高い一方、衝突時に電源が失われると作動しなくなるリスクがある。こうした車両には手動の緊急脱出用リリースが備わっているものの、多くの場合わかりにくい位置に隠されており、事故の際に乗員や救助隊員がすぐに見つけられない恐れがあるという。

テスラ含む11社が足並みをそろえる対応

今回の一斉リコールには、テスラのほかシャオミ(Xiaomi)、Xpeng、吉利(Geely)傘下のZeekrとLynk & Coなど計11社が名を連ねる。対応内容は各社で異なり、テスラを含む9社は緊急脱出用リリースの位置を乗員が識別しやすくするための警告ラベルを取り付ける。さらに11社すべてがソフトウェアアップデートを実施する。リコールは9月25日付で発効する見通しである。

背景には、中国当局が2026年2月に発表した規制強化がある。当局は隠れた電子式の外部ドアハンドルについて、2027年以降の使用を禁止する方針を示していた。今回のリコールは、この規制に先立つ業界全体の対応と位置づけられる。

米国でも広がる同様の懸念

同様の懸念は中国国外でも広がっている。米国では、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)がテスラのドアラッチシステムについて調査を開始しており、乗員がすぐに使え、かつ直感的にわかる緊急脱出用リリースを義務づける新規則の検討を進めているという。リバイアン(Rivian)は同様の懸念を受けてR2の手動リリース機構を再設計し、フォード(Ford)も電源喪失時に電子ラッチが作動しなくなる問題でマスタング・マッハEをリコールした事例がある。

電子式ドアハンドルは近年のEVで一般化した機能だが、いざという時に乗員の命を左右しかねない設計課題でもある。中国発の規制強化を機に、各社が緊急脱出手段のわかりやすさを見直す動きは今後も広がりそうである。

参考:Tesla recalls 3 million cars as part of China-wide push to stop hidden door handles