ウェイモが新たに4都市で完全無人配車を開始

グーグル系の自動運転企業ウェイモ(Waymo)が、新たに4都市で運転席に人を乗せない完全無人の配車サービスを開始した。対象はサンディエゴ、ラスベガス、タンパ、デンバーの4都市である。まずは従業員向けに走り始め、その後一般利用者へと段階的に広げる。無人運転の商用エリアは着実に拡大を続けており、ロボタクシーが実験段階を抜けて日常のインフラへと近づいていることを示す動きだ。

セーフティドライバーを外し無人フェーズへ

ウェイモは2026年7月8日付の公式ブログで、この4都市で「人間の専門要員(セーフティドライバー)を運転席に置かず、完全自動で走り始める」と明らかにした。これまで各地での立ち上げ時には、安全確認のために専門スタッフが車内に同乗する期間を設けてきた。今回の4都市もその段階を経て、いよいよ運転席を無人にするフェーズへ移る。まずは自社の従業員が利用し、安全性や運用を確かめたうえで一般開放へ進む流れである。

ウェイモは現在、24時間365日いつでも完全無人ライドを呼べる都市を「10都市を超えるネットワーク」にまで広げていると説明している。サンフランシスコやフェニックス、ロサンゼルスといった先行都市で積み上げた実績をもとに、対象エリアを一気に増やしている格好だ。元記事のCNBCによれば、これまでの累計乗車回数は2000万回を超えたという。数年前まで「本当に人を乗せずに街を走れるのか」と疑問視されていた技術が、すでに膨大な回数の実運行をこなしている点は見逃せない。

量産を見据えた新型車両のテスト

車両面でも動きがある。ウェイモは現行の走行と並行して、現代自動車(ヒョンデ)の電気自動車(EV)「アイオニック5(IONIQ 5)」をベースにした新型車両のテストを、専門要員を乗せた状態で進めている。プラットフォームを複数持つことで、車両の調達や量産、コスト低減を狙う構えとみられる。自動運転は技術の完成度だけでなく、いかに多くの車を安く安定して用意できるかという「規模の勝負」の側面が強い。ウェイモが車種を広げているのは、その量産フェーズを見据えた布石といえる。

テスラとの対照的なアプローチ

日本の読者にとって気になるのは、同じ無人配車を目指すテスラ(Tesla)との対比だろう。テスラは専用のハンドルもペダルもない「サイバーキャブ(Cybercab)」を掲げ、カメラ主体の自動運転で低コストに大量展開する構想を打ち出している。一方のウェイモは、高精度な地図とLiDAR(レーザーによる距離センサー)を組み合わせ、都市を一つずつ丁寧に開けていく堅実路線だ。アプローチは対照的だが、両社とも「運転席に人がいない車で客を運ぶ」という同じゴールへ向かっている。今回のウェイモの4都市展開は、その競争が実サービスの都市数と乗車回数という具体的な数字で進んでいることを改めて示した。

無人ロボタクシーは、もはや一部の実験都市だけの珍しい光景ではなくなりつつある。ウェイモが4都市を追加し、10都市超のネットワークへと広げたことは、自動運転の商用化が着実に前進している証だ。今後は無人化のスピードと、新型車両による量産・コスト競争が焦点になる。テスラのサイバーキャブを含めた競争が本格化すれば、街を走る「運転手のいないタクシー」が当たり前になる日は、思ったより近いのかもしれない。

参考:Waymo starts driverless rides in San Diego, Las Vegas, Tampa and Denver(CNBC、2026年7月8日)