トランプ氏とオバマ氏、AI規制巡り対立鮮明に

AIの存亡リスクを巡る研究者の警告が業界を揺るがす中、ワシントンでも規制論議が過熱している。トランプ大統領やジョンソン下院議長は性急な規制導入に否定的な一方、民主党やオバマ元大統領は対応強化を求めており、党派を超えた対立が鮮明になっている。

前提として、Anthropic CEOのダリオ・アモデイ氏がAI開発競争の減速を提言する論文を発表し、同社の元研究員も辞職とともに存亡リスクへの警告を発するなど、業界内で懸念が相次いで表明されている。これを受け、米政治の場でも対応を巡る議論が本格化している。

トランプ氏とジョンソン下院議長、規制の性急な導入に反対

トランプ大統領は記者団に対し、AIの存亡リスク警告について「起こらないことを言っている」と一蹴した。その上で「我々はAIで中国をリードしており、それを維持したい」と述べ、規制よりも競争優位の維持を優先する姿勢を鮮明にした。

共和党のマイク・ジョンソン下院議長も緊急の規制導入に慎重な立場を示す。ジョンソン氏は「議会が急いで規制すれば中国との競争に負ける」と警告し、業界リーダーとの協議を通じて「バランス」の取れた対応を模索すべきだと訴えた。

民主党とオバマ氏、規制論議の再開を要求

これに対し民主党議員らは、AIの存亡的リスクに対処する規制論議を直ちに再開するようジョンソン氏に求めている。バラク・オバマ元大統領も2028年大統領選の候補者らに対し、AI対策の明確な計画を持つよう促した。さらに下院民主党トップのハキーム・ジェフリーズ氏には、将来民主党が多数派となった際に備え、規制の枠組みを準備しておくよう強く勧めているという。

政権顧問「懸念すべきは敵対勢力のAI掌握」

トランプ陣営の経済顧問ケビン・ハセット氏は、AI開発競争で「中国に負ければ悪い立場に置かれる」と強調した。同氏はむしろ懸念すべきは「敵対的な主体が優れたAIにアクセスすること」だと述べ、規制強化より開発競争での優位維持を重視する政権の立場を代弁した。

存亡リスクへの警告が広がる一方、米政治の場では規制強化派と競争優先派の溝が埋まっていない。中国との覇権争いを理由に規制を急がない姿勢が続けば、リスクへの対応は今後も政党間の駆け引きに左右されそうだ。

参考:Political debate over AI intensifies amid warnings about 'catastrophic risk'