テスラが欧州でFSDを改称、独運輸省の指摘受け

テスラが欧州で、運転支援機能の名称を変更した。従来の「Full Self-Driving(Supervised)」から「Tesla Assisted Driving」になる。きっかけはドイツ運輸省からの指摘だ。同国の運輸相は、従来の名称が誤解を招くとの認識を示していた。EU全体での承認をにらんだ動きとして、名称変更の経緯と周辺の状況を整理する。

ドイツ運輸省の指摘と名称変更の経緯

2026年10月9日、TechCrunchは、テスラが欧州で運転支援システムの名称を改めたと報じた。新しい名称は「Tesla Assisted Driving」である。ドイツ運輸省からの反発を受けた対応だという。

ドイツのシュテフェン・ビルガー(Steffen Bilger)運輸相は、今月初めに名称への懸念を示していた。「Full Self-Driving」という名称は、やや誤解を招くというものだ。ソフトウェアが運転タスク全体を担うわけではないためである。運輸省の発表によると、同相は9月にテスラと協議した。新名称はその場でテスラ側が提案したものとされる。

EU全体での承認をめぐる動きと批判

ビルガー運輸相は、欧州全域で「Tesla Assisted Driving」の承認を得られるよう働きかける方針だ。2026年中に、EU全体での投票が行われる可能性がある。記事は、名称変更が欧州での普及を後押しし、大きな新たな収益源につながりうると伝えている。

イーロン・マスク氏は今週、Xでビルガー運輸相に謝意を示した。同氏は以前から欧州での承認獲得を訴えてきた。2025年6月にはXで、欧州でのFSDは人命を救うと述べ、各国政府に承認を求める声を上げるよう呼びかけた。2026年3月には、EUの「極端な規制負担」がイノベーションを妨げているとも投稿した。その数週間後、オランダが欧州で初めてFSD(Supervised)を承認した。

一方で、批判も出ている。ロイターは2026年10月7日、テスラの欧州での承認獲得キャンペーンについて報じた。「欠陥のある自社の安全性調査」に基づいていたという。オランダの規制当局RDWが、テスラとその支持者から強い圧力を受けたとも伝えている。

安全性をめぐる背景と今後

FSDは、事故をめぐる連邦当局の調査や民事訴訟の対象になっている。前身のAutopilot(オートパイロット)は、数十人の死亡との関連が指摘されてきた。記事によれば、テスラは2026年初めにAutopilotの提供を終了した。判事が、同システムの能力について欺瞞的なマーケティングを行ったと判断したことが背景にあるという。

なお記事は、名称変更に伴って機能や挙動が変わるのかどうかや、米国での名称については触れていない。

今回の名称変更は、ドイツ運輸省の指摘にテスラが応じた形だ。年内にEU全体での投票が行われる可能性があるが、承認の可否や時期については記事でも示されていない。承認獲得のプロセスへの批判や、安全性をめぐる調査・訴訟も続いている。

参考:Tesla renames 'Full Self-Driving' to 'Tesla Assisted Driving' in Europe