Tesla

テスラAutopilot生みの親が、カメラのみ方式を批判

テスラの運転支援機能「オートパイロット(Autopilot)」を率いた人物が、同社のカメラのみの自動運転方式を公然と批判した。2015年から2016年にかけて開発を指揮したスターリング・アンダーソン氏である。現在はゼネラルモーターズ(GM)の幹部を務め、「物理を無視した奇妙な宗教的立場」とまで言い切った。

批判の中身とアンダーソン氏の経歴

アンダーソン氏はGMの最高製品責任者で、2025年6月に入社した。テスラではオートパイロット計画を率い、モデルXの計画も担当した。自動運転企業オーロラ(Aurora)の共同創業者でもある。ブルームバーグは昨年、メアリー・バーラGM最高経営責任者(CEO)が次期CEOの有力候補と見ていると報じた。

発言はGMのニューヨークでの技術イベント後、米メディアThe Vergeのインタビューで出た。テスラがレーダーを捨ててカメラに絞った判断が、批判の対象である。主な論点は次のとおりだ。

  • カメラのみに絞ると、特定の状況で弱点を抱える
  • レーダーは安価で、外す理由がない
  • カメラは濃霧に弱く、レーダーのように瞬間的な速度を測れない
  • 複数のセンサーを組み合わせる方が安全面で明確に有利
  • ライダー(lidar、レーザーで距離を測るセンサー)とカメラを併せて学習させると、カメラ単体の改善も速まる

GMは2028年、キャデラック・エスカレードIQに「アイズオフ」(運転者が前方を見なくてよい)システムを初搭載する予定だ。ライダー、レーダー、カメラを併用する。アンダーソン氏は、高性能に感じられる運転支援は運転者の油断を招くとして、「アイズオフ」を前面に出す宣伝も避ける考えだ。記事はこれをテスラの「フルセルフドライビング(監督付き)」という呼称と関連づけている。

レーダー撤去の経緯と規制当局の動き

テスラは2021年5月にモデル3とモデルYからレーダーの撤去を始めた。初期の「テスラビジョン」には制約があった。オートステアは時速75マイルが上限で、車間距離は長めになり、納車時にはスマートサモンなどが無効だった。超音波センサーも2022年に廃止している。元従業員によると、技術者がレーダー維持を訴えたがマスク氏が退けたという。

規制当局も動いている。米道路交通安全局(NHTSA)は3月、視界不良時のFSDに関する調査を「エンジニアリング分析」に格上げした。対象は3,203,754台で、リコールの前段階にあたる。調査では9件の衝突があり、2023年11月の歩行者死亡事故も含まれる。NHTSAは、カメラ劣化の検知機能が太陽光のまぶしさ、霧、舞い上がる粉じんを見逃し、衝突直前にしか警告しなかったと指摘した。

ウェイモとの比較と今後の焦点

元記事の出典であるElectrekは、マスク氏が2019年にライダーを「愚か者の試み」と呼んだと伝えている。ウェイモ(Waymo)は3種のセンサーを使い、無人走行は約2億7,100万マイルに達する。テスラは今年1月に安全監視員の撤去を始め、無人走行は約300万マイルだ。

アンダーソン氏の批判は、元責任者の立場から出たものだ。テスラはオースティンでカメラのみのサイバーキャブを無人運行へ投入しようとしている。NHTSAの調査結果と、各社のセンサー構成の違いが今後の焦点になる。

参考:Father of Tesla's Autopilot criticizes the camera-only self-driving system