Cybercab量産開始、自律走行は未完のまま

テスラはギガファクトリー・テキサスでCybercabの量産を着実に進めている。2026年第1四半期から連続生産が始まり、アウトバウンドロットには100台超が確認された。だが完全自律走行の実現はまだ先の話であり、その矛盾が業界内で大きな議論を呼んでいる。

ハードウェア先行という大胆な賭け

Cybercabはステアリングホイールもペダルも持たない設計だ。人間がバックアップとして運転することを想定しておらず、法的にも乗用車として公道を走ることができない。テスラが打ち出した戦略は「ハードウェアを先に量産し、ソフトウェアは後から追いつく」という大胆なものである。

自律走行の現実:縮小するフリートと高い事故率

しかし現実は厳しい。オースティンで稼働する無人ロボタクシーは約14台に留まり、むしろ縮小傾向にある。監視付き車両の事故率は一般ドライバーの約4倍に上るとの報告もある。イーロン・マスク自身も「安全性の検証が拡大の制約要因」と認め、FSD v15の完成は2026年末から2027年初頭を目標としている。テスラは「実質的な収益は少なくとも2027年まで見込めない」とも述べており、量産と自律走行の間には依然として大きなギャップが横たわっている。

過去の轍と投資家の視線

こうした状況はテスラが過去にウインカーストークを廃止した判断と重なる。「自律走行が先に実現するはず」という前提でハードウェアを設計し、市場と規制の壁に直面したケースだ。Cybercabも同じ轍を踏むリスクがある。製造ラインは動き始めたが、それを走らせるソフトウェアの完成こそが、この事業の命運を握っている。投資家も規制当局も、テスラが描く未来予想図が現実に追いつく日を固唾をのんで見守っている。

参考:Tesla Cybercab: Mass-Producing a Car Before It Can Drive Itself