スターシップFlight 14、初の上段タワーキャッチに挑む見通し

スペースXの次期飛行「Flight 14」で、宇宙船の上段「Ship」を発射塔の腕で回収するタワーキャッチが初めて試みられる見通しとなった。イーロン・マスク氏は7月30日、先行するFlight 13の着水データが回収の要件を満たしたと明かした。米連邦航空局(FAA)が事故調査を求めなかったことで規制上の停止も解けた。宇宙開発史上初となる軌道級上段の機械式回収に、いよいよ挑む段階に入った。

前回飛行のデータが回収基準を満たす

Flight 14では、ブースター「Booster 21」と上段「Ship 41」の組み合わせで、発射塔「メカジラ(Mechazilla)」の機械腕による上段キャッチに挑む。実現すれば、軌道級の上段を機械式で回収する初の事例となる。マスク氏はX上で「船の着陸は正確で、タワーの腕でキャッチできていたはずだ」と述べ、直前飛行のデータが回収基準を満たしたと説明した。

前回のFlight 13では、上段Ship 40が準軌道の軌道を飛行し、7月24日にインド洋へ着水した。着水直前の「フリップ・アンド・バーン」と呼ばれる姿勢制御では、エンジン停止までにほぼ完全な垂直姿勢を達成した。一方でブースターBooster 20は着陸バーンが部分的に失敗し、13基ある中央エンジンのうち点火したのは10基にとどまり、うち2基が停止。メキシコ湾に高速で衝突する結果となった。

ミリ単位の精度が求められるタワーキャッチ

タワーキャッチはミリ単位の精度を要する。機体はほぼ垂直の姿勢で到達し、前方フラップ下にある腕の荷重支持点の間を通過する瞬間に、速度を正確にゼロへ抑え込む必要がある。原文はこの操作を「誤差の余地がない」と表現している。全長52メートル、直径9メートルの巨大な機体を、発射塔の腕でつかみ取る難度の高さがうかがえる。

Flight 14はこれまでの準軌道飛行と異なり、地球を回る完全な軌道飛行を行う。上段は軌道離脱して東側から発射拠点スターベース(Starbase)へ帰還する計画で、スターシップにとって初の軌道飛行への挑戦となる。打ち上げ時期はハードウェアの準備状況の分析に基づき、2026年8月下旬から9月上旬になる可能性がある。これはスペースXが掲げる月1回のペースという目標とも整合する。Ship 41は8月中旬から下旬に静的燃焼試験が予定されている。

ブースターのキャッチ挑戦は判断保留

なお、ブースターについては判断が保留されている。スペースXはBooster 20の着陸バーンでのエンジン不具合を分析中で、Flight 14でBooster 21のキャッチに挑むか、海上着水にとどめるかを見極める段階にある。

タワーキャッチが成功すれば、上段の再利用へ向けた大きな一歩となる。ただし現時点では計画・許可の段階であり、実際の成否は今後の試験と飛行にかかっている。初の軌道飛行と初の上段回収という二つの節目を同時に狙うFlight 14が、予定通り8月下旬以降に実現するか注目される。

参考:Starship Flight 14: First Upper-Stage Tower Catch Attempt