テスラが完全自動運転(FSD)の新バージョンを配信開始した。目玉は衝突回避のために自動でハンドル操作まで行う新機能「自動衝突回避(Automatic Collision Evasion)」だ。新型ハードウェア(HW4)向けのv14.3.9と、旧型(HW3)向けの軽量版v14.2 Liteを同時展開した。反応速度の向上や交差点での挙動改善も盛り込まれている。
新機能「自動衝突回避」とは
テスラは2026年9月、共通ファームウェア「2026.27.6」を搭載したFSDの新版を2種類同時にロールアウトした。HW4搭載車向けがフル機能版の「FSD v14.3.9」、HW3搭載車向けが処理能力に合わせて最適化した「FSD v14.2 Lite」である。
最大の目玉は新機能の自動衝突回避だ。正面衝突が迫っており制動のみでは回避しきれない可能性がある場合、あるいはドライバーが後部座席に手を伸ばすなどして前方を十分に注視していないとシステムが検知した場合に作動する。従来の自動緊急ブレーキ(AEB)はブレーキ制御にとどまる。これに対し新機能は、AIが実際にハンドルを操作してドライバーの代わりに操舵し、事故の軽減を図る点が異なる。
反応速度20%向上、交差点判断も改善
技術面では、強化学習段階のアップグレードにより幅広い運転シーンでの判断精度が向上した。ニューラルネットワークのビジョンエンコーダーも強化され、稀にしか発生しない状況への対応力が高まったという。さらにAIコンパイラを全面的に書き直したことで、反応時間が20%高速化したとしている。
運転行動の面でも複数の改善が加えられた。不要な車線変更や軽微な車間詰めの動作を減らし、駐車位置の選定や操舵の確実性を高めた。交差点については、複数の信号機がある場所やカーブした道路、黄信号での停止判断など、複雑な状況での信号理解が向上したという。緊急車両やスクールバスへの対応、小動物への対応も強化された。加えて、一時的なシステム障害が発生した際に不要にドライバーへ操舵権を戻す挙動も減らしたとしている。
Actually Smart Summonの高速化など段階的に展開
このほか、駐車を無人で行う「Actually Smart Summon」は最高速度が時速8マイル(約13キロ)に引き上げられた。FSD(Supervised)での走行距離を表示する機能も追加された。さらに、駐車目的地に到着した際にロボタクシーのような降車動作を行う機能も新たに搭載された。
今回のロールアウトは、まずインフルエンサーや経験豊富なテスラオーナーで構成される初期アクセスグループに限定して配信されている。安全性の確認とデータ分析が進み次第、より広い範囲のユーザーへ展開される見込みだ。
参考:Tesla Rolls Out FSD v14.3.9 With New Automatic Collision Evasion Feature

