スペースX、偵察衛星NROL-95を打ち上げ第1段は射場帰還

スペースXは2026年7月30日、米国家偵察局(NRO)の機密偵察衛星「NROL-95」をファルコン9ロケットで打ち上げた。射場はフロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地・第40発射施設(SLC-40)で、離陸は現地時間の午前3時10分(東部夏時間、協定世界時0710)だった。ペイロードの内容や投入先の軌道は機密扱いで公表されていない。国家安全保障ミッションの実施が正式に報告された。

機密扱いのNROミッション

NROは、米国の偵察衛星の開発・運用を担う情報機関である。今回のNROL-95は、米宇宙軍の宇宙システム軍団(SSC)が管理する「国家安全保障宇宙打ち上げ(NSSL)フェーズ2」契約のもとで実施された。ファルコン9によって同契約下で打ち上げられたNROミッションとしては3件目にあたる。この打ち上げのタスクオーダー(個別発注)は2024年8月に付与されていた。

機密ミッションのため、衛星の質量や目的、投入軌道といった詳細は明らかにされていない。打ち上げには、NROに加えて宇宙システム軍団やスペース・ローンチ・デルタ45など、複数の軍関連部門が連携して臨んだ。

7回目の飛行を終え射場に帰還したブースター

一方、ロケットに関する情報は公開されている。第1段ブースターは機体番号B1096で、今回が7回目の飛行だった。これまでにNASAの太陽圏探査機IMAP、補給ミッションCRS-34、アマゾンの衛星インターネット計画「カイパー」の打ち上げ、そして先の偵察衛星NROL-77やGPS III-9、スターリンク衛星の打ち上げに使われてきた実績を持つ。

このブースターは、衛星を分離したあと発射場近くへ帰還する運用(射場帰還、RTLS)で回収された。離陸から約8分半後、ケープカナベラルの「ランディングゾーン2(LZ-2)」に着地した。スペースXによれば、この着地は同施設での18回目、そして同社の通算642回目のブースター着地となった。海上ドローン船ではなく陸上の着陸場に戻す方式が採られた形だ。使用済みブースターを繰り返し回収・再利用する運用は、スペースXが打ち上げコストを抑える柱となっている。

定着する国家安全保障分野での再利用

NROL-95は、機密性の高い国家安全保障ペイロードを、実績豊富なファルコン9で運ぶ運用の一例といえる。軌道や任務は伏せられたまま、打ち上げそのものは予定どおり成功裏に完了した。

政府や軍の機密ミッションであっても、ロケットの回収・再利用を前提とした打ち上げが定着しつつある。NSSLフェーズ2のもとでNRO向けミッションは今後も続く見通しで、民間ロケットが国家安全保障の分野で果たす役割はさらに広がっていくとみられる。詳細が非公表の衛星がどのような任務を担うのか、公開情報の少なさもまた、この分野の特徴を映し出している。

参考:SpaceX launches US spy satellite NROL-95 on Falcon 9 from Cape Canaveral