テスラの中国事業が、国内販売の低迷と輸出の急増という対照的な動きを見せている。2026年上半期(H1)の中国国内販売は数年来の低水準に落ち込んだ一方、上海工場(ギガ上海)からの輸出は前年同期比127%増と大きく伸びた。いまや上海工場は「中国のための工場」から「世界のための工場」へと軸足を移しつつある。その実態を数字で追う。
国内販売は9%減、中国勢との競争が影
2026年上半期の中国国内小売販売は23万8955台だった。前年同期の26万3410台から9%減少した。2023年上半期のピーク時(29万4105台)と比べると19%の落ち込みとなる。国内販売の減速について、記事は中国勢との競争激化を要因に挙げる。BYD、シャオミ(Xiaomi)、ニオ(Nio)をはじめとする十数社が、より安く、より新しく、より装備の充実したEVを次々と投入する一方で、テスラのモデル3(Model 3)とモデルY(Model Y)は市場で相対的に古くなりつつある。
輸出は127%増、生産の半分が海外向けに
対照的に、輸出は大幅に増加した。2026年上半期の輸出は22万8994台で、前年同期の10万1064台から127%増となった。上半期の卸売生産台数は合計46万7949台に達し、前年同期比で28%増えた。輸出が上海工場の総生産に占める割合は、1年前の28%から49%へと上昇した。2026年の1月と4月には、テスラが中国から輸出した台数が国内販売台数を上回る月もあった。上海工場からの輸出は、ヨーロッパ、カナダ、その他アジア市場へと向けられている。
世界戦略を左右する二極化
この構造変化は、テスラの中国事業をめぐる議論を複雑にしている。記事によれば、テスラは分社化や売却まで含めて中国事業の選択肢を検討しているとされるが、イーロン・マスク(Elon Musk)は関連する一部報道を否定している。仮に中国事業を切り離せば、減速する国内市場を手放すだけでなく、三大陸の店舗に在庫を供給する年間およそ50万台の生産拠点を失うことを意味すると、記事は指摘する。
中国国内でテスラが苦戦する一方、上海工場は世界市場への輸出ハブとして存在感を高めている。国内需要の回復にはモデルの刷新が鍵を握るとみられるなか、テスラが中国事業をどう位置づけるかは、今後の世界戦略を左右する重要な論点となりそうだ。数字が示すこの二極化の行方に、引き続き注目したい。

