20か国の首脳・閣僚が、AIの国際的な監視機関の設立を求める共同声明を発表した。国連総会(UNGA)を前にした2026年9月21日のことで、フィンランドの大統領がその声明を投稿して明らかになった。
署名国と3つの要求
声明に署名したのは、カナダのマーク・カーニー(Mark Carney)首相、ケニアのウィリアム・ルト(William Ruto)大統領、オランダのロブ・ヤッテン(Rob Jetten)首相、オーストラリアのアンソニー・アルバニーズ(Anthony Albanese)首相、南アフリカのシリル・ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領など。トルコの外相やUAEの副首相も署名した。一方でアメリカ、イギリス、中国は署名していない。
声明の要求は主に3点だ。第一に、AI企業が第三者機関による評価を含む事前安全テストを実施すること。第二に、各国政府がAI評価の共通安全基準を整備すること。第三に、基準設定・検証・能力の閾値超過を加盟国に通知できる「国際機関」を設立すること。声明は「AIは人間の指示・監視・管理のもとに置かれ、国際法に準拠しなければならない」とも強調している。
実現への課題
AIガバナンスをめぐる国際的な議論は近年活発化している。国連総会の場でAI規制を主要議題として取り上げる動きは、安全インシデントへの懸念が各国で高まっていることを示している。
非営利団体「The Future Society(未来社会研究所)」のエグゼクティブディレクター、ニック・ムース(Nick Moës)氏は「meaningful AI coordination(意味のあるAI調整)への明確な意欲が示された」と評価した。ただし、声明の実現には「外交的・政治的・財政的な資本の投入」が不可欠だと指摘している。
国際的なAI監視機関の設立は技術的・政治的に難易度が高い課題だ。アメリカや中国といった主要AI大国が署名に加わっていないことが、実効性ある機関の実現に向けた大きな障壁となる可能性がある。今後の国際交渉がどのように進展するかが焦点となる。
参考:20 Nations Call for New Global Body to Oversee AI Ahead of UN General Assembly

