NHTSAがテスラのオートパイロットリコールを再調査、対策後も衝突事故

米国の道路交通安全局(NHTSA)が、テスラのオートパイロット(Autopilot)リコールに対する調査を新たに開始した。2023年12月に実施されたリコールとソフトウェアアップデートでは安全上の問題を十分に解消できていないと判断したためだ。アップデート後の車両が関与する新たな衝突事故が確認されており、テスラの自動運転技術をめぐる規制当局との緊張が再び高まっている。

リコール対応の何が問題だったか

NHTSAは、テスラが行ったリコール対応に複数の問題があると指摘した。修正済みオートパイロットを搭載した車両で「対策後の衝突事象(post-remedy crash events)」が発生していることを確認したほか、規制当局自身が実施した改良後車両のテスト結果にも懸念を示した。

とくに問題視されたのは、リコール対応の仕組みそのものだ。今回の修正は「所有者がオプトインする必要があり、かつドライバーが容易に解除できる」設計になっているとNHTSAは述べた。ドライバーが注意義務を果たすよう促す機能が、ユーザーの操作によって無効化される恐れがある。

3年間の調査で確認された深刻な事故件数

今回の調査は、3年間にわたる初期調査の延長線上にある。その調査期間中、NHTSAはオートパイロットの「予見可能なドライバーの誤使用が関与したと見られる」衝突事故として、死者を伴う事案を少なくとも13件記録した。重傷を伴う事案はさらに多数にのぼる。

2023年12月のリコールはテスラ車200万台超を対象としており、ドライバーがオートパイロット使用中に注意を維持するよう促すことを目的としていた。しかし今回の再調査開始により、その実効性が改めて問われることとなった。

ロボタクシー計画にも影を落とす

この問題は、CEOイーロン・マスクが推進するロボタクシー(robotaxi)事業にも影を落とす。完全自動運転の実現について専門家たちは懐疑的な見方を示している。ウェイモ(Waymo)の元CEOジョン・クラフチック氏は「テスラは8年前に全車両を完全自動運転にすると約束したが、いまだに実現から数年離れていると多くの人が考えている」と語った。

NHTSAによる今回の調査開始は、テスラの自動運転技術に対する規制当局の監視が依然として厳しいことを示すものだ。200万台超を対象としたリコールが実質的な効果をあげていないとすれば、テスラには追加の技術的対応が求められる可能性がある。ロボタクシー計画を含む自動運転事業全体への影響が注目される。

参考:Tesla Autopilot Recall Probed by Safety Regulator Following New Crashes