米SpaceXは2026年8月14日、AIコーディング支援ツール「Cursor」の開発元Anysphere社の買収手続きを完了したと発表した。買収額は600億ドルの全株式交換で、CursorはSpaceXの完全子会社となる。宇宙開発企業がソフトウェア開発分野へ本格進出する動きとして注目されている。
全株式交換で子会社化、Colossusも活用
SpaceXは今回の取引にあたり、新たに約3億9100万株のクラスA株式を発行した。Anysphereが発行していた全株式に加え、制限付き株式ユニット(RSU)やストックオプションもSpaceX株に交換された。
Anysphereは今後、SpaceX傘下の完全子会社として、新設された「SpaceXAI」部門の下で運営される。SpaceXAIは、イーロン・マスク氏が率いていたAI企業xAIを今年吸収して発足した部門だ。Cursorの開発チームは、SpaceXが保有する巨大GPUクラスター「Colossus」を利用できるようになる。ColossusはAnthropicやGoogleにも余剰能力を貸し出している、世界最大級のGPU群である。
Grokとの統合がすでに始動
両社の統合はすでに動き始めている。買収完了前日の8月13日には新モデル「Grok 4.6」が公開された。さらに8月11日には、常時稼働型のAIエージェント「Grok Bot」のベータ版が発表され、Cursorの有料プラン利用者向けに提供が始まっている。Grok Botはクラウド上の仮想コンピュータでブラウザやアプリを自ら操作し、メール処理や資料作成などをユーザーに代わって実行する機能を持つ。
IPO後に加速した買収、株価目標も維持
今回の買収合意は2026年4月にさかのぼる。SpaceXはこの時点でCursorを買収する権利(オプション)を取得していた。その後SpaceXは6月に新規株式公開(IPO)を果たし、時価総額2.7兆ドル規模の上場企業となったことを受け、買収手続きが本格的に進められた。
証券大手モルガン・スタンレーは今回の買収完了を受けても、SpaceX株の目標株価300ドル(強気シナリオでは600ドル)を維持している。同社は、Cursorの取り込みによってSpaceXの収益が2027年までに最大130億ドル押し上げられると試算している。
CursorのColossus活用とGrok系モデルとの統合が、今後のコード生成やAIエージェント開発にどう反映されるかが焦点となる。宇宙開発企業とAIコーディングツールの融合は、開発者向けAI競争の新たな局面を示している。

